SVシーズン8で使用した構築を紹介します。
【使用構築】
構築経緯
①鉢巻カイリューからスタート
レギュレーションDは対応の難しいポケモンが増え、綺麗に選出をまとめるのが難しいと感じました。その中で、鉢巻カイリューが特性による行動保障と高火力先制技により広い役割を持つことができ、選出事故が少ないと感じたため、このポケモンを基本選出に組み込むところから構築をスタートしました。
鉢巻カイリューは有利対面で受けられない攻撃で相手を崩し、しんそくによる縛りに移行する動きが強いと感じたため、対面操作ができるポケモンと組み合わせ対面操作+アタッカーの動きを構築のコンセプトに決定しました。
②対面操作役としてハッサムを採用
対面操作を行うクッション役として、カイリューと相性補完が良いことに加えて、自身も先制技による縛りが可能なハッサムを採用しました。特にハッサム、カイリューの2体で高火力先制技を異タイプで持つことで、テラスタルで先制技を回避してくる動きに耐性をつけることができる点は重要です。
③ステルスロック対策として連撃ウーラオスを採用
鉢巻カイリューはステルスロックを撒かれると性能が格段に落ちるため、相手のステロ撒きに対し有利に立ちまわれるポケモンが欲しいと考え連撃ウーラオスを採用しました。自身もアタッカーとなれる火力があるため、ステロを撒かれた場合は体力の残ったこのポケモン、削りを優先された場合は後発のカイリューをメインアタッカーとして動かすことでステロ構築に対応することを目指しました。
④高速アタッカーとしてスカーフサンダーを採用
ここまでのポケモンが中程度の速度しかなく、受けづらい高速アタッカーの処理ルートに貧しいため上から縛れるポケモンが欲しいと思いスカーフサンダーを採用しました。初手の高速ボルトチェンジからハッサムに繋ぎ後発のアタッカーを展開していく動きも強力であり、第2の選出軸となりました。
⑤崩し枠としてガチグマを採用
ここまでのポケモンが、受けポケモンへの崩し性能に貧しいため崩し枠が必要でした。そこで、積まずに殴っていくだけで崩しが成立することから対面操作と相性が良く、状態異常に耐性も得られる点を評価しガチグマを採用しました。
⑥展開構築の対策としてミミッキュを採用
ここまででウーラオスがステルスロックを防げるわけではないため、無理やりステルスロックを撒き後発で全抜きを狙ってくる展開系の構築が重いという欠点があります。そこで展開系の構築全般にストッパーとして機能しガチグマとも相性が良いトリックルーム持ちのミミッキュを採用し、構築を決定しました。
個体解説
①カイリュー
✓調整
167(4)-204(252+)-115-x-120-132(252)
アタッカー性能重視でAS特化
AS鉢巻カイリューです。構築の軸で鉢巻+飛行テラステルによる高火力での崩しと先制技による縛りが役割となります。自身で相手を崩し、1度クッションに引きしんそくによるスイープに切り替えていく動きがメインになります。特性による行動保障と先制技により有効に動かせる対面の多さが、対処の難しいポケモンが増えたレギュレーションDでは魅力でした。特に、依然対処の難しいカイリューに対し取り巻きと併せて概ねの型に対応できる点が強力であるため、ミラーの勝率を引き上げるように準速まで伸ばしました。
技構成はメインウェポンかつ非接触が強力な「テラバースト」、先制技の「しんそく」、鋼を意識してヒードランにも通る「じしん」、ロトムへの打点とテラスタルを切らない場合を意識した「げきりん」です。テラスタイプはテラバースト用の「ひこう」です。
②ハッサム
✓調整
177(252)-169(28+)-146(204)-x-103(20)-83(個体値27)
HB:特化珠ミミッキュのA↑2テラスタルシャドークロー確定耐え
HD:特化サーフゴーのシャドーボールでオボン確定発動
A:無降りミミッキュ確定+α
S:ブリガロン抜かれ
HBベースのハッサムです。アタッカーの不利対面で引き先となり、後攻とんぼがえりにより有利なアタッカーを繰り出していきます。クッションとなりながら、サイクル下での削りの如何によって剣舞バレットによるスイーパーに切り替えていく動きがメインになります。その動きを実現しやすい耐久厚めな調整でオボンのみを持たせました。レギュレーションDは受けづらいポケモンが多く、対面操作を軸に不利対面を作らない動きと先制技による縛りを両立する性能は環境に合っていると感じました。
技構成は、上記の動きを成立させる「バレットパンチ」、「とんぼがえり」、「つるぎのまい」に加えてボルトロスやサーフゴー意識の「どろぼう」です。テラスタイプは受け用途で切れる対面が少なくなったと感じたため、ウーラオスと併せてカイリューを処理する際の火力を補いつつ、呼ぶ飛行カイリューを起点にしやすい「はがね」にしました。
③連撃ウーラオス
✓調整
175-200(252+)-121(4)-x-80-149(252)
アタッカー性能重視でAS特化
ASグローブ連撃ウーラオスです。ステロ撒きの大半に1回しか行動させないことが多く有利が付きやすいポケモンとして採用しました。ステロを撒かれた場合このポケモンの体力が残るためメインに動かし、引きや削りを優先してきた場合には裏のカイリューをメインに動かす立ち回りを意識しました。有利対面を取った際にゴツゴツメット持ちを投げられるだけでアドバンテージを取られることを嫌いパンチグローブを持たせました。併せてA特化とすることでHBサーフゴー程度までは2発で倒せるようになりアタッカー運用性能もあがりました。
技構成はメインウェポンの「すいりゅうれんだ」、カイリューを意識し「れいとうパンチ」、水への打点として特に連撃ウーラオスミラーで押しやすいことを意識し「かみなりパンチ」、対面性能向上とS操作+ステルスロックを咎められ得る先制技の「アクアジェット」としました。テラスタイプは、役割上初手に置きがちなため行動保障を得られるものが良く、フェアリー、フリーズドライに耐性が付き、対カイリューにおいて飛行テラバーストとしんそくを半減できる「はがね」にしました。
④サンダー
✓調整
187(172)-99(-)-108(20)-153(60)-111(4)-167(252+)
HB:特化鉢巻パオジアンのこおりのつぶて15/16で耐え
C:あまり
S:最速ウーラオス意識で最速
耐久振りのスカーフサンダーです。パオジアンやウーラオスの上から動けるポケモンが欲しいと感じ、スカーフ枠として採用しました。初手の先制技で出落ちしない耐久を持てること、偶発対面したエナジー持ちに対し行動できること、スカーフウーラオスを抜いて且つ打点を持てること、初手に置きやすい撃ち逃げ技を覚えることの4点を評価しサンダーを採用しました。特にボルトチェンジの存在が重要で、初手に置いて様子見しハッサムを絡めて後発のアタッカーを展開していく動きが強力です。また、テラバーストを採用し自身で電気無効を崩し一貫を狙う動きを組み込むことで、地面入りにも選出画面で困らないようにしました。テラバーストで崩せないような硬い地面タイプは元々ウーラオスを選出していく想定なので、タイプは4倍弱点で奇襲することを目的に氷にしました。
技構成は、メインウェポンの「10まんボルト」、上記の「ボルトチェンジ」と「テラバースト」、裏の電気無効を気にせず撃ち逃げできるように「とんぼがえり」です。テラスタイプは、テラバースト用兼氷耐性が付く「こおり」です。
⑤ガチグマ
✓調整
231(204)-211(252+)-132(52)-x-100-70
HB:特化カイリューの飛行テラバースト2発+火傷1回を15/16耐え
A:特化ヘイラッシャへの与ダメージ意識で特化
HAベースの火炎玉ガチグマです。崩し枠として採用で、ただ殴っていくだけで崩しとなるため対面操作と相性が良いと思い採用しました。対面操作技から着地させることで火炎玉の発動ラグを無くして殴っていく動きが強力です。またカイリュー、ウーラオスが誘うヘイラッシャに対して欠伸の耐性が付くことも重要です。サイクルや対面操作から崩しを行い、裏のアタッカーを通すことが目的であり、1体持っていくことが役割となるので特にカイリューとの殴り合い性能を意識しSには回さずHAベースにしました。刺さりが良い場合は自身で1体処理し、1度引いてトリックルームから再展開する動きも行いました。
技構成はメインウェポンの「からげんき」と「じしん」、風船サーフゴーやハバタクカミ+飛行の交換択の緩和を意識し「シャドークロー」、硬いカイリューを押し切るための積み技で龍舞や攻撃との択になりづらい「ビルドアップ」です。テラスタイプは火力は十分だったため、ウーラオスからの弱点を消せるものの内、特に対一撃ウーラオス性能を意識し「フェアリー」にしました。
⑥ミミッキュ
✓調整
159(228)-110-111(84)-x-165(196+)-116
HB:特化鉢巻連撃ウーラオスのすいりゅう連打をばけのかわと併せて確定耐え
HD:C187ハバタクカミのシャドーボール+ステルスロックを皮ダメージ込み15/16耐え
HDベースのミミッキュで、相手の展開構築の対策として採用しました。ばけのかわを盾にS操作系にはトリックルーム、壁や耐久積みに対してはのろい+みがわりが刺さるため、概ねの展開構築を1体で止めに行くことができます。そのうえでガチグマをトリルエース運用もしていける点が相性が良いと考えました。調整はエナジー持ちに対してクッションとして後投げできるようにHDベースとし、みがわりを張る回数を増やせるフィラのみを持たせました。みがわりは呪いのターン稼ぎだけでなく、トリックルームの調整が可能な点が強力で、みがわり×2→トリル→呪いと動くことで裏にフルでトリルターンを残すことができます。逆にトリル→みがわり×2→呪いと動くと裏に1ターンのみトリルターンを渡すことができます。これにより中速帯のカイリューやウーラオスを切り返しのターンのみトリル運用していくことができ、ガチグマを選出せずとも切り返しを狙っていけます。器用な動きが多くできる反面単体で敵を倒す性能は低いため高火力アタッカーとセットで動かす必要があります。
技構成は上記の「トリックルーム」、「のろい」、「みがわり」と、テツノツツミに切り返す際みがわりを割る必要があったので汎用性が高い「じゃれつく」です。テラスタイプは積アタッカーの内ばけのかわを貫通してくる連撃ウーラオスを意識し「みず」にしましたが、のろいを打てなくなるのでほとんど切れません。
選出
・ウーラオス + ハッサム + カイリュー
+ +
基本選出1つめで、ステルスロックが無ければ対応範囲が広いハッサム+カイリューを強く動かすために、ステロ撒きに強いウーラオスを初手に置く選出です。ウーラオスが初手で行動できそうならこの選出を行いました。
・サンダー + ハッサム + アタッカー
+ +
基本選出2つめで初手のサンダーのボルトチェンジで様子見しながら出落ちを防ぎ、ハッサムを絡めてアタッカーの有利対面を狙っていきます。
・ガチグマ + ミミッキュ + アタッカー
+ +
ガチグマの通りが良い場合に行った選出です 。単調なトリル展開は火炎玉のラグターンの影響でほとんど通らないため、事前にガチグマの火炎玉を発動させることができそうな場合に選出しました。
・アタッカー×2 + クッション or アタッカー×3
+
主に受け駒を擁する攻め系の構築に行った選出です。初手の出し勝ちか否かの影響が大きいため安定感は低いですが、崩し性能を求めるとやらざるを得ないことがありました。その類の構築はテツノツツミが入っていることが多いのでミミッキュの優先度は高めです。
レギュレーションDでは同一の対応が困難なポケモンが多く、選出択が多くなってしまいました。以前までは対応範囲の広い基本選出で纏めて、広い並びに対応する構築を目指していましたが、この構築は、どちらかというと対応させる側の動きが多くなった結果、基本選出できないケースも多く選出択の増加につながっています。
個人的には前者のような動きが好みなのですが今シーズンでは思いつかなかったので、いつか綺麗な構築を組みリベンジしたいです。
結果
TN:V.F.D. 最終22位 最終レート2135
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